BASKETBALL / BEFORE THE CATCH
ボールを持たない4人が試合を動かす。カットとオフボールスクリーンの見方
シュートが入る。会場が沸く。その少し前、ボールに一度も触れずに、味方の道を開けた選手がいたかもしれません。ボールを持てるのは一人でも、攻撃を作るのは五人。今日は視線を少し外へ移して、シュートが生まれる前の駆け引きを見てみましょう。
30秒でわかる
ボールが来る前に、勝負は始まっている
パスを受けるために動く「カット」、ボールのない味方を助ける「オフボールスクリーン」、通り道を空ける間隔。守備が追う方向を見て、受ける人・渡す人・助ける人がタイミングを合わせます。
一般的な5人制の観戦ガイドです。図のA〜Eは背番号や固定ポジションではありません。まずはボールを持たないBを追い、次にパサーAとスクリーン役Cへ。チームごとの約束や育成年代の指導方針を、この例で置き換えるものではありません。
こんな場面から
同じ出発点から4つの出口を比較。守備が追うか、先回りするかで、パスを受ける候補が変わります。
ボールを持たない選手の動きや、シュートが生まれる前の協力を楽しみたい観戦者へ。
図のBだけを追ってみてください。ボールを持たずに動くカットの意味が、守備との距離から見えてきます。
パスとドライブの道を作るスペーシングあとで続きを読む
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この記事の目次 15項目
まずここから
プレーを見る3つの手がかり
01
ボールのない一人を選ぶ
どこから出発して、誰に追われているか。受ける直前だけでなく、動き出す前から見ます。
02
出口を変えた理由を見る
守備が後ろを追うのか、先回りするのか。味方のスクリーンに対して通る側が変わります。
03
来なかったパスの、その後
一度空いても届かないことがあります。次の受け手になった人や、空けた道を使う味方へ視線を移します。
図でわかる
同じ構えでも、守備が変われば出口が変わる
右のBが、Cのスクリーンを使おうとする場面を比べます。4枚は別の選択例で、続けて走る手順ではありません。どの候補も、Aが渡せるか、別の守備が道に入っていないかの確認が必要です。
● A=ボールを持つ人、B=受け手、C=スクリーン役、D・E=残りの味方。△ a〜e=最初に同じ文字の攻撃者を守る相手。小さな丸=ボール。
実線矢印=Bの移動候補、破線矢印=Aからのパス候補。上側が攻めるリング。矢印は二つの候補で、パスを出す正確な瞬間や相手の次の移動は示していません。
Bはスクリーンのそばを通り、その先の外へ抜ける候補。Aは、守備が戻る前に渡せるかを見る。
もう一つ見るなら
Bの動きだけでなく、受けたときの余裕が残っているか。
BはCの近くから内側へ回り込む候補。追うbだけでなく、リング側の守備cの対応も見る。
もう一つ見るなら
内側に走れても、そこへパスが通るとは限らない。
Bは外へ出る動きから方向を変え、裏のリング側へ向かう候補。Aが渡せる状態かも確かめる。
もう一つ見るなら
別の守備が裏を埋めたら、無理に通さず次の出口へ。
BはCから離れる側へ開く候補。Cを挟む位置関係で、守備bとの距離を見る。
もう一つ見るなら
長いパスを渡せるか。受ける場所が遠すぎないか。
ZERO作成の比較図。攻撃5人は同じ出発点、守備bは対応を比べるため位置を変えています。他の守備の動き、身体の向き、接触の時間・距離は再現していません。特定クラブのセットプレーや、必ずパスが通る配置ではありません。
もっとわかる
「ずっと走れ」でも、「広がって待て」でもない
オフボールは、ボールを持っていない状態のこと。カットは、受ける場所や守備との関係を変える移動です。パスを出した人がリングへ走る、近づくふりから逆へ出る、味方のスクリーンを回る。走った距離よりも、その動きで誰が何を選ぶことになったかに注目します。
ピック&ロールでは、スクリーンを使う人が最初からボールを持っています。ここで扱うオフボールスクリーンでは、使うBにも置くCにもボールはなく、Aが渡す役。BとCだけで形を作れても、Aから届く道とタイミングがなければ、パスにはなりません。
外で動かない選手も、攻撃から消えているとは限りません。守備がその人のシュートを警戒して残れば、別の味方の道が広がります。逆に、味方と同じ場所へ走れば、その道を狭めることもあります。動いたかどうかより、五人の間隔がどう変わったかを見てみましょう。
4つの出口を、守備への返事として覚える
FIBA/WABCのLevel 1教材では、スクリーンを使う基本のカットとしてストレート、カール、バック、フレアを扱います。大事なのは名前の暗記ではなく、守備がどちらへ動いたか。この下の問いと図を行き来してみてください。
- ストレート:そのまま外の受け場所へ
- 守備がスクリーンで遅れ、出口に先回りされていないなら、外へ抜ける道が候補。受けてすぐ打てるかは、パスの速さと守備が戻る距離で変わります。
- カール:追われたら、回り込む
- 守備が後ろについてくるなら、スクリーンの近くを回って内側へ向かう候補があります。リング側で助ける別の守備も見て、走る道と渡す道を分けて考えます。
- バックカット:出口を塞がれたら、その裏へ
- 外へ出る道に守備が先回りしたら、方向を変えてリング側へ抜ける候補です。バックドアとも呼ばれます。スクリーンがない場面でも使われる動きですが、内側の守備とパサーの準備が必要です。
- フレア:守備が近道をしたら、外へ離れる
- 守備がスクリーンの内側を抜けて出口へ急ぐなら、スクリーンから離れる側へ出る候補。距離が長くなるパスを安全に渡せるか、その先のシュートが得意な範囲かまで見ます。
スクリーンがなくても裏へ抜ける。「バックドアカット」のタイミングと、受けなかった後まで →
出典:FIBA / WABC Level 1|オフボールの4つのカット(冊子329–332頁/PDF331–334頁) ↗
Aは渡す。Bは読む。Cは助ける。では、残り2人は?
架空の場面で五人を追ってみます。Aはボールを持つ人、Bは受けたい人、Cはスクリーン役。DとEは残りの味方です。この役は一つの攻撃の途中でも入れ替わります。ガードだけが渡し、センターだけがスクリーンを置くと決める必要はありません。
- A:Bが空いた瞬間に、渡せる状態でいる
- 自分へのプレッシャーと、Bへのパス経路を見る。Bのいる場所へ遅れて投げるのではなく、受けられるタイミングが合うか。危険なら別の出口を探します。
- B:行き先より先に、守備を確かめる
- 動き出す前とスクリーンの近くで、追われ方を見る。パスが来ないときもリング下で止まり続けず、次の動きに使う道を空けられるかが見どころです。
- C:置いたあと、自分も次の受け手になる
- Bへ守備が寄ったら、自分が受けられる場所ができることもあります。相手を押して道を広げるのではなく、合法的な位置と、その後のパス先を作ります。
- DとE:二人とも、同じ道へ入らない
- Bが内側へ入るなら外の出口を残す、Aが詰まるなら戻せる角度を作る。シュートが上がったらリバウンドと速攻への備えへ。固定の場所より、今の四人との関係を読みます。
パスが来なかった。誰かの失敗とは限らない
Bは空いたのにAが渡さなかった。客席からは見えた道でも、Aの前には腕があり、ボールを持ち替える時間がなかったかもしれません。遠くの席や映像では角度も違います。まず「Bが空いたように見えた」と「パスは出なかった」を別々に残すと、振り返りが具体的になります。
早すぎると、まだCの準備ができていない。遅すぎると、守備が追いつく。三人の呼吸が合った瞬間には、Bが受けたときにすでに半歩の余裕があります。見たいのは最高速度ではなく、誰が待ち、誰に合わせて動き出したかです。
一回目に出なかったパスが、次の攻撃を作ることもあります。Bが通り過ぎて空けた場所へCが開く、Aが逆側へ渡してDが仕掛ける。Bへのパスがなかったことと、Bの動きに意味がなかったことは同じではありません。逆に、すべての空振りを成功と呼ばず、その後に何が変わったかまで見ます。
守備も黙ってはいない。追う・先回りする・担当を替える
守備bがBの後ろを追い続けると、外のシュートへついていきやすい一方、内側へ曲がる動きへの準備が必要です。先回りして外の出口を塞げば、今度は裏の道に注意が要ります。図の4つの動きは、こうした選び合いを見るための入口です。
Cを守っていたcがBへ出て、bがCへ付くスイッチもあります。担当を替えた直後に誰かが置き去りになったか、それとも二人とも守れたか。身長差だけを見てすぐ有利と決めず、Aがパスを入れられるか、残り時間があるかを確かめます。
リング側の別の守備が助ければ、Bは簡単には打てません。その人が元々見ていたのはDかEか。ボールの近くで止めず、もう一人だけ視線を広げると、次のパスの理由が見えてきます。図は一般的な観戦例です。
実際の戦術コラムでは、「もう一人のカット」に光が当たる
FIBAに掲載されたBCL 2019-20の「Tactics Board — Tip-Offs and Timeouts」は、テネリフェの攻撃を取り上げています。筆者はコナテ(Konate)のカットに注目し、守備のローテーションに対して、相手一人に二人を見させない働きを説明しています。
複雑なプレー名は、覚えなくてもかまいません。「目立つ連係の横で、もう一人の守備を動かしたのは誰?」。その問いがあれば、ピック&ロールの外側にもプレーが見えてきます。
これは当時の公式サイト掲載コラムにある筆者の分析の紹介で、ZEROが全映像を再検証した試合分析ではありません。上の図はその試合の再現ではなく、テネリフェやビートレインズの現在の戦術を表すものでもありません。
出典:FIBA掲載・BCL 2019-20の戦術コラム|Tactics Board — Tip-Offs and Timeouts(筆者の分析) ↗
味方が空いても、スクリーンが反則なら別の話
規則の説明はFIBA Official Basketball Rules 2024の33.7を基準に、2026年9月12日に確認しています。接触時は自分のシリンダー内で静止し、両足がコートについていることが合法なスクリーンの条件です。相手の視野外や移動中の相手には、避けるための時間と距離も必要です。だから「先に止まっていた」だけで、すべての接触が合法になるわけではありません。
FIBAのBCL 2019-20判定例2では、パスを助けようと相手の進路へ一歩入り、接触した場面について、時間と距離を尊重しない不正なスクリーンだったと解説されています。攻撃がうまくいったかと、スクリーンが合法だったかは別々に確認します。
この図は身体の向き、速度、接触までの時間を再現していないため、図だけで反則判定はできません。大会ごとの規則を優先してください。FIBAは2026版を10月1日適用として案内しているため、その時期以降に読む際は公式の版・適用日も確認します。
次の観戦では、三つの攻撃だけ一人を追ってみる
一回目は、パスをもらう前の出発点。二回目は、その人を追う守備の位置。三回目は、もらえなかった後に空けた道を見る。同じ動きをしたかどうかだけでなく、相手が違う返事をしたかを比べます。交代したら、別の一人へ移って大丈夫です。
ビートレインズを観に行くなら、チーム紹介で気になる背番号を一つ見つけて、観戦のしおりのスクリーンのテーマから始められます。得意技や出場予定は決めつけず、その日のコートで確かめる。好きな選手がボールに触らない時間も、観戦の楽しみに変わります。
次にシュートが入ったら、拍手をしながら少しだけ思い出してください。そこへパスを通した人、受け手を助けた人、別の守備を引きつけていた人。点数は同じ2点や3点でも、見つけた仕事の分だけ、その一本が濃くなります。
PAUSE & THINK
同じBでも、次はどこを見る?
2場面とも架空です。万能な正解ではなく、図の候補を守備・時間・パスの条件で読み直します。
CASE 01
外への出口を塞がれたB。裏へ走れば解決?
Bがスクリーンから外へ出ようとすると、守備が先回り。Aはボールを持ち、リング側には別の守備もいます。
- 外の道が塞がると、裏は候補になる。
- 別の守備と、Aが渡せる角度は残っている。
選択肢を一つ選び、考え方を比べてみよう。何度でも選び直せます。
必ずバックカットすればフリーになる候補と、成功は別
外への先回りに対して裏は候補ですが、リング側の守備やパスへの圧力は消えません。Bが走る道に加え、Aからボールが通る道を見る必要があります。
裏の守備と、Aのパスの道を確認する受ける人と渡す人を、同時に読む
Bの方向転換だけでなく、Aが見ているか、守備の腕を越えて渡せるかまで見ます。届かないときは止まって要求し続けるより、次の味方の道を空ける選択もあります。
Cが動いて守備を押せばよい助けるためでも、不正な接触は別問題
味方のためでも、相手を押しのけて経路を作ることは合法なスクリーンとはいえません。Cの位置と相手が避ける余地、接触の時点を確認します。
CASE 02
Bへはパスが出ず、Cが受けてシュートした
Bが内側へ曲がると守備が寄り、外へ開いたCがAから受けて打ちました。シュートは外れました。
- Bにパスが来たかと、Bが助けたかは別。
- 得点結果と、受けたときの余裕も別。
選択肢を一つ選び、考え方を比べてみよう。何度でも選び直せます。
Bはボールに触っていないので何もしていない動いた守備を見直す
Bの動きに誰が反応したかを追うと、Cが受ける時間との関係を見つけられます。ただしBだけの功績と即断せず、Aのパスやほかの選手の位置も見ます。
外れたので、連係そのものが失敗良い準備と得点は、必ず一致しない
外れたという事実に加え、Cの姿勢、守備との距離、残り時間を確認します。一回の結果だけで形を否定せず、同じ条件ならどの機会を選べたかを振り返ります。
Cが空いた理由と、シュート後の分担を見る一本の攻撃を最後まで追える
Bへ出た守備とCへのパス経路を振り返り、外れた後は確保する人と速攻へ備える人へ。得点者だけでは見えない仕事を、次の攻守までつなげられます。
試合でやってみよう
背番号を一つ決め、パスの前から見る
次の練習で
ボールを持つ前の場所、追う守備、受けなかった後の行き先を、一回ずつ見ます。実際にプレーする場合の約束や接触練習は、所属先の指導者と確認してください。
試合を見るとき
得点した人から一つ前へ。スクリーン役、パサー、反対側の人まで、少しずつ視野を広げます。
次の試合に持っていく
次の一本が、もっと面白くなる観察メモ
選手の意図を想像で埋めず、見えた順番を残します。
-
出発点と守備
どこにいて、どちらから追われた?
-
選び直した道
外へ、内へ、裏へ。パスは届いた?
-
その後の一人
誰が受けた、誰の道が空いた、誰が戻った?
見るのは一人から。見つかる仕事は、五人へ。
迷ったときに
よくある疑問
カットとドライブは何が違う?
ここでいうカットは、ボールを持たずに受ける場所などを変える動きです。ドライブは、ボールをドリブルで運んで守備へ仕掛ける動き。ボールを持っているかを分けると追いやすくなります。
オフボールスクリーンとピック&ロールの違いは?
オフボールスクリーンは、ボールのない味方を助けます。ピック&ロールでは、ボールを持つ味方がスクリーンを使います。オフボールでは、別にいるパサーとのタイミングも大切です。
動かずにコーナーにいる選手は休んでいる?
必ずしもそうではありません。守備を外に引きつけたり、パスの出口を残したりする仕事があります。逆に、そこにいるだけで常に役立つとも限りません。ほかの四人と守備の位置を合わせて見ます。
バックカットは必ず成功する?
いいえ。裏に別の守備がいる場合や、パスの道がない場合があります。守備が外を塞いだことは候補を探すきっかけであり、成功の保証ではありません。
この図はビートレインズの実際の戦術?
いいえ。ZERO作成の一般的な比較図です。A〜Eは固定ポジションや実在選手を表しません。クラブの固有戦術や出場予定を推測せず、次の観戦で使える問いを示しています。
ZEROで実際に見てみよう
動きを知ったら、バスケの記録へ
次に学ぶ
同じ競技のやさしい解説
公式資料・出典
確認した一次情報
- FIBA / WABC Level 1|オフボールの4つのカット(冊子329–332頁/PDF331–334頁) ↗
- FIBA公式規則2024|33.7 スクリーン(40頁) ↗
- FIBA公式|規則の版と適用日を確認 ↗
- FIBA掲載・BCL 2019-20の戦術コラム|Tactics Board — Tip-Offs and Timeouts(筆者の分析) ↗
- FIBA公式・BCL 2019-20|Tough Calls — Gameday 13・判定例2 ↗
- FIBA / WABC|Chris DeMarco・オフボールスクリーンの指導動画案内 ↗
最終確認日: 2026-09-12。 この記事は公式規則・公式指導資料を基に、代表的な動きをやさしく整理したものです。実際の担当は指導者の方針、チームの約束、大会規定を優先してください。